お菓子や乾物、レトルト食品などを開封した際、中に小さなパックが入っているのを見かけたことがある人は多いでしょう。それが「脱酸素剤」です。脱酸素剤は、食品の劣化を防ぎ、保存性を高める重要な資材でありながら、その仕組みや種類についてはあまり知られていません。
この記事では、脱酸素剤の基礎知識から仕組み、代表的な種類や使い方、安全性まで、食品包装資材メーカーである福重がわかりやすく解説します。
脱酸素剤とは?
脱酸素剤とは、包装内部の酸素を取り除くことによって、食品の酸化・劣化・カビの発生を抑制する資材です。別名「酸素吸収剤」とも呼ばれ、密封されたパッケージ内で機能します。
酸素は、食品の変色、油脂の酸化、カビや細菌の増殖など、さまざまな劣化の原因となります。脱酸素剤はこれらの劣化を抑えることで、
- 保存期間の延長
- 品質の安定
- 廃棄ロスの削減
に大きく貢献しています。
脱酸素剤の仕組み
脱酸素剤は、パッケージ内に封入されることで、内部の酸素を化学反応または物理的吸着によって取り除きます。最も一般的なタイプは、鉄粉を利用した化学吸収型です。
鉄が酸化することで酸素を吸収し、以下のような反応を起こします。
4Fe + 3O₂ → 2Fe₂O₃(酸化鉄)
この反応により、パッケージ内の酸素濃度は約0.1%以下にまで下がり、食品の酸化や微生物の繁殖を効果的に抑えることができます。
主な脱酸素剤の種類と特徴
脱酸素剤には、目的や対象物によってさまざまな種類があります。ここでは代表的なタイプをご紹介します。
◉ 鉄系脱酸素剤(もっとも一般的)
- 鉄粉の酸化反応を利用
- 湿度を必要とするため、水分活性(Aw値)0.3以上の食品に使用
- クッキー、和菓子、パン、乾物などに適用
◉ 酸化酵素系(非鉄系)
- 酵素やビタミンCなどが酸素と反応
- 金属アレルギー対策や電子レンジ対応パッケージに使用
- 水分の少ない食品やシリカゲルとの併用に向いている
◉ 脱酸素剤+防虫成分入りタイプ
- 防虫成分(ピレスロイド系)を加えることで、保存中の虫害も予防
- 穀物、乾燥豆、ドライフルーツなどに効果的
脱酸素剤の使い方と注意点
脱酸素剤を効果的に使用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。
使用時の基本条件
- 密封容器・袋を使用すること(酸素が外部から入らないように)
- 対象食品の水分活性に適したタイプを選ぶ
- 封入後はすぐに密閉し、速やかに酸素を吸収させる
注意点
- 開封後の脱酸素剤は再利用不可。一度反応すると効果は戻りません。
- 乾燥剤と混同しないよう注意(目的と仕組みが異なります)
- 食品と一緒に食べてしまわないよう、誤食防止の表示が重要です。
脱酸素剤と乾燥剤の違い
| 項目 | 脱酸素剤 | 乾燥剤 |
| 目的 | 酸化の防止 | 湿気の除去 |
| 主成分 | 鉄粉、酵素、ビタミンCなど | シリカゲル、生石灰など |
| 使用対象 | 酸化・カビに弱い食品 | 湿気に弱い食品 |
| 開封後の使用 | 不可 | 条件次第で再利用可 |
このように、酸素を除去する脱酸素剤と、湿気を除去する乾燥剤では目的も使用方法も異なるため、適切に使い分けることが重要です。
脱酸素剤が使われている食品例
- 和菓子(カステラ、どら焼き、羊羹など)
- 焼き菓子(クッキー、マドレーヌなど)
- パン・米粉製品
- 海苔、干物、乾燥野菜
- チーズ、ナッツ類、ペットフード
近年では、脱酸素剤が入っていることを示す「脱酸素剤封入済」のシールが貼られた商品も多く、品質への信頼感を高めるための要素にもなっています。
まとめ:脱酸素剤は食品ロス削減にも貢献する現代の必需品
脱酸素剤は、見えないけれど確実に食品の品質を守ってくれる重要な資材です。正しい知識を持ち、用途や食品に適したタイプを選んで活用することで、
- 食品の鮮度保持
- 安全性の向上
- 廃棄ロスの削減
といった効果が得られます。食品を美味しく、安心して提供するために、脱酸素剤の理解と活用はますます重要になっていくでしょう。
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